働く中、日常生活を送る中で、私たちはさまざまな契約を締結しています。不動産の売買や賃貸、労働条件など、双方の合意の上で成り立つ契約ですが、契約上の義務を正当な理由なしに果たさない場合、なにが起きるのでしょうか。当事者間で取り決めた内容を守らないことを、「契約不履行」と呼びます。
本記事では、契約不履行について、その概要や種類、契約不履行が発生した時の対処法などを詳しくご紹介していきます。契約上のトラブルを防ぐためにも、契約不履行についてしっかりと理解しておく必要があります。ぜひ最後まで読み進めてみてください。
目次
契約不履行とは?
契約不履行とは、冒頭で簡単に説明した通り、「契約を締結した当事者間の合意において、一方の当事者が正当な理由なく、契約の実行をしない、義務を果たさない(履行しない)」ことを意味します。逆に契約によって生じた義務をそれぞれの当事者が果たすことを契約の履行と呼びます。契約は、口約束のみでも双方の合意があれば成り立ちますが、後々言った言ってない問題を防ぐためにも、不履行の際の処理を適切に行うためにも、契約書を作成した方が良いでしょう。
また、契約不履行は民法上では「債務不履行」と定義されています。契約不履行が発生する前までは契約関係であるという前提のもと、契約によって約束した義務、つまり債務を、正当な理由がないにも関わらず履行しない場合、債務不履行に該当します。契約不履行と債務不履行は、口語か法律上の言葉という差で、意味合いにほとんど違いはありません。
契約不履行の種類をご紹介!
では、契約不履行にはどのようなものがあるのでしょうか。実は一言で契約不履行といっても、そこには3種類の契約不履行が存在します。そこで以下では、契約不履行の種類を3つそれぞれご紹介します。
履行遅滞
まず1つ目は、履行遅滞です。履行遅滞とは、契約上で定められた期限になっても債務者が行うべき義務を履行していない場合のことです。履行が可能な状態であるにも関わらず、債務者の故意や過失によって履行が遅れているという部分がポイントになります。履行遅滞の場合、期限が確定されている場合と、不確定な場合があります。確定期限がある場合は履行遅滞に対して責任を生じさせることが可能ですが、不確定な場合は責任を生じさせることはできません。しかし、債務者が期限到来後に履行の請求を受けた際、もしくは債務者が期限の到来を知った際のどちらか早い時期を履行遅滞の対象とします。
履行不能
続いて履行不能とは、債務者の故意や過失によって履行が不能になることです。遅滞の場合は履行しようと思えばできる状態ですが、履行不能の場合は、履行そのものができない状態を指します。例えば貸し出す予定だった賃貸が火事で燃えてしまったなど、契約内容を履行できない状態です。
不完全履行
最後は、不完全履行です。不完全履行とは、契約は一応履行されているが、債務者の故意や過失によって履行が不完全である場合を指します。例えば納品物の数が異なっていたり、支払われた金額が違ったりする場合が不完全履行に該当します。不完全履行の場合は、契約時の双方の認識の齟齬が生まれている可能性もあるため、契約書を作成して確認するなどの対策が必要になるでしょう。
このように、契約不履行にもさまざまな種類が存在します。それぞれの種類によって対処や対策も異なる可能性もあるため、事前に各ケースについて確認しておくと良いかもしれません。
契約不履行が発生したときの対処法
では、実際に契約不履行が発生してしまった場合、どのような対処を行えば良いのでしょうか。以下では契約不履行が発生した際の対処法を具体的に3つご紹介しています。
契約の解除
契約の解除は、契約不履行を受けて、契約を白紙撤回することです。契約で定めた解除要件に基づいて行います。この場合、契約内容は無効となるため、すでに履行された債務がある場合は、債務者に返還しなければなりません。債務者に催告をしてから、契約の解除を行います。
損害賠償請求
契約不履行が発生した際は、条件を満たしていれば損害賠償請求を行うこともできます。損害賠償請求をする際に必要な条件は3つで、契約不履行があること、相手に故意や過失などの帰責事由があること、そして損害と契約不履行に因果関係があることです。つまり、契約不履行によって直接損害を受けた場合には損害賠償請求が可能なのです。また、損害賠償請求には時効があるため、注意しなければなりません。請求権を行使できることを知った時点から5年間、または請求権を行使できる時から10年間が時効となります。
履行の強制
履行の強制も、契約不履行が発生した際の対処法の1つです。履行の強制は、債務者が契約を履行できる状態である場合のみ行えます。そのため、履行不能の場合は使えません。履行の強制には、直接強制、代替執行、間接強制の3種類が存在します。直接強制はものや金銭の受け渡しが必要な場合に強制的に行うことです。代替執行は、契約内容に代替性がある場合に、本来の契約とは違った形で契約を履行すること。例えば払わなければいけない金銭の支払いの滞りが続いている際に、家や車などの資産となるものを強制的に回収されるなどがあります。間接強制は、金銭以外の場面で使われるものです。例えば離婚後に親権を持っていない方の親が、子に面会を求めた場合は交流させなければならないとい契約があるにも関わらず、その契約を守らず面会をさせなかった場合、間接強制を用いて金銭の要求を申し立てることなどができます。しかし申し立てが却下された場合もあります。
契約不履行を未然に防ぐために
すべての契約において、理由はさまざまですが契約不履行が発生する可能性が充分にあり得るため、契約不履行を未然に防ぐためにも、いざ契約不履行が発生した場合に大きなトラブルになることを防ぐためにも、必ず内容を明記した契約書を用意することが重要となります。重要な契約であればあるほど口頭は以ての外、契約書に記載する内容も充分に吟味する必要があるでしょう。契約内容や期日、履行しなかった場合の対処法や契約解除方法など、双方の同意によって細かいところまで決めておくことで、後々のあらゆるトラブルを未然に防ぐことができます。
契約書は昨今、紙媒体から電子化へ移行する動きが活発になっています。契約までに時間も手間もかかっていたものが、電子化することで短時間で行えたり、細やかな修正もすぐにできたりと大幅な効率向上が見られるため、契約締結には電子契約がおすすめです。そこで最後に、電子契約におすすめなツール「DottedSign(ドットサイン)」をご紹介します。
DottedSign(ドットサイン)
DottedSignとは、KDANが提供している電子契約・署名サービスです。DottedSignを使用することで、契約書の作成から署名作業まで、契約締結の作業をすべてオンラインで完結させることができます。紙媒体の契約書に比べて、捺印のための出社や相手先に足を運ぶ手間が省けるだけでなく、印紙代や交通費などのコスト削減、そして契約にかかる時間の短縮など、業務効率を向上させる大きなメリットがたくさんあります。
DottedSignの特徴は、ユーザーの使いやすさと機能の豊富さ、そしてセキュリティの高さです。直感的で誰でも簡単に使いこなすことが可能で、これまで電子契約を行った経験がない人でもすぐに慣れられるインターフェースになっています。また、ダッシュボード機能でタスクを一元管理できたり、テンプレート機能や公開URL機能で契約締結までにかかる時間をより短縮できたりと自分に合った機能を活用することで極限まで手間と時間を省くことができるのです。さらに、セキュリティの担保に力をいれており、OTP(ワンタイムパスワード)機能や、全契約プロセスの暗号化、監査トレイルの提供によって、全プロセスのアクティビティ追跡が可能な機能などが搭載されています。契約書では多くの機密情報を取り扱うため、安心・安全に使えることは電子契約サービスにとって何よりも重要なのではないでしょうか。機能やサービスの詳細は以下の公式HPからチェックしてみてください。
まとめ
いかがでしたか?本記事では、契約不履行について、その種類や対処法、未然に防ぐための方法をご紹介しました。また最後には、契約不履行を防止するために重要となる契約書の作成を効率的に行えるツール「DottedSign」についても記載しました。ぜひ皆さんもDottedSignのようなツールを使って契約書作成の敷居を下げ、トラブルを未然に防ぎましょう。