こんにちは、KDANライターの辰濱です。コロナを機にリモートワークなど場所を選ばない働き方が普及したことに伴い、クラウドサービスを導入する企業が増えています。
総務省の調査では、令和4年にクラウドサービスを一部でも活用している企業は7割以上に達し、その効果を実感している企業は9割以上に上りました。
一方で、顧客の重要情報を扱う旅行業や金融業などの業種では、セキュリティ面の不安からオンプレミスの利用を続けている企業も多くあります。
しかし、オンプレミスはクラウドに比べ運用コストが高いため、今後の運用について頭を悩まれている経営者や管理職の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回はそのような悩みを解決するため、セキュリティ面・費用・運用面などから、オンプレミスとクラウドのメリットとデメリットを、KDANが徹底比較します!
目次
企業におけるオンプレミス、クラウドとは
本題に入る前に、まずオンプレミスとクラウドがそれぞれどのようなシステムかを簡単にご紹介します。
オンプレミスの概要
オンプレミスとは、サーバーやネットワーク機器などのハードウェア、あるいはソフトウェアを自社で保有し、構築・運用・管理する形態のことです。「自社運用」や「オンプレ」と呼ばれることもあります。
サーバー設備については、一般的に自社敷地内に物理的な環境を構築することが多いです。自社で保有しているため、サーバー管理やシステム構築、保守管理などを全て社内で対応する必要があります。
クラウドの概要
クラウド型とは、外部のクラウドサービス事業者のITサービスをインターネット経由で利用するシステム運用方法です。
オンプレミスと違って、サーバー管理やシステム構築、保守管理はサービス事業者に任せられるため、自社で行う必要がありません。
従業員はインターネット環境さえあれば、場所を問わず、いつでもクラウド上の自社データにアクセスして作業することができます。リモートワークとの相性が良いため、多くの企業がクラウド化に取り組んでいます。
また最近では、ハイブリッド型といって、重要情報のみをオンプレミスで管理し、部分的にクラウドを導入する方式を採用する企業も増えています。
オンプレミスとクラウドのどちらを使うべき?徹底比較
オンプレミスとクラウドは、それぞれどういう面でメリットやデメリットがあるのでしょうか?それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
オンプレミス | クラウド | |
導入までの期間 | △時間がかかる | ○すぐに導入可能 |
費用 | △初期費用が高額 | ○コストを抑えやすい |
カスタマイズ性 | ○自由に構築可能 | △サービスによる |
セキュリティ | ○高い(自社のセキュリティポリシーに合わせて自由にカスタマイズ可能) | △サービスによる。不正アクセスや情報漏えいのリスクは常にある。 |
他システムとの親和性・融合性 | ○連携可能 | △独自性の強いシステムとは連携できない可能性が高い |
アクセス制限 | △VPNを利用してアクセスが必要。セキュリティ性は高い。 | △いつでもどこでもクラウド上で直接アクセス可能。VPN制限をかけることも可能。 |
人的リソースの確保 | △社内にトラブルに対応できる技術者が必要 | ○導入や運用は事業者に任せられる |
障害対応 | △自社で対応。対応が難しい場合、解決に時間がかかる。 | △サービスによる。外部環境の障害に左右されやすい。対応はサービス事業者に任せられる。 |
災害対策 | △自社で導入・管理 | ○サービス事業側で管理。堅牢なサービスセンターがあり安心。バックアップも可能。 |
クラウドと比べた場合、オンプレミスのメリットは自由にカスタマイズでき、セキュリティ性が高いこと、既存システムの連携が可能なことなどがあります。
反対にデメリットとしては、導入コストが高く構築に時間がかかること、社内に技術者が必要であることなどがあります。
一般的に高いセキュリティを求められる業種や業務では、オンプレミスのほうが向いていると考えられるでしょう。
具体的に、オンプレミスが向いている業種としては、現場労働者が多く物理的な保管場所が重要視される工場・物流・インフラ業や、顧客の重要情報管理を扱うサービス業などが挙げられます。
以下の総務省調査の「産業別・資本金規模別クラウドサービスの利用状況」図表4-2を見ると、運輸・郵送業や、サービス業などは、他業種と比べるとクラウドサービスの利用率が比較的低いことがわかります。
機密情報を守りたい!オンプレミスとクラウド、セキュリティには差がある?
では実際、オンプレミスとクラウドはセキュリティ面でどのような違いがあるのでしょうか?
それぞれのセキュリティの構築方法から、漏洩リスクまで、まとめてご紹介します。
オンプレミスのセキュリティ構築・保守方法
オンプレミスの場合、システムを自社で設計・開発・運用するため、独自のセキュリティ要件やセキュリティポリシーを自由に設定でき、それに合わせた厳格なセキュリティ体制を構築できます。
保守方法に関しては、エンジニアを雇用してカスタマイズやセキュリティ対策を行います。
万が一、サーバーダウンやネットワーク障害が発生した場合、自社のリソースで対応する必要があるため、高度な技術と深い知識を有する人材を常時確保しておかなければなりません。
セキュリティ性が高いオンプレミスですが、保守運用のための費用や人件費や、物理的なサーバーの故障による事業への影響など、考慮すべきリスクもいくつかあります。
クラウドのセキュリティ構築・保守方法
クラウドの場合、オンプレミスと違って、提携するサービス事業のセキュリティポリシーに準じるため、必ずしも自社のセキュリティ要件を満たせるとは限りません。
保守方法に関しては、クラウド提供事業者に委託する形になり、万一障害が発生した場合でも自社で復旧作業をする必要はなく、クラウド提供事業者が全て対応してくれます。
ほとんどのクラウドサービスは、地震などの自然災害に対応できるよう堅牢なデータセンター内で24時間体制の管理をしているため比較的安心です。
また、データの分散管理やバックアップを提供しているサービス事業であれば、データ損失のリスクも軽減できるでしょう。
ただ、やはりパブリック型のサービスを利用してクラウド上でリソースを共有するという特性上、セキュリティの漏洩リスクや脆弱性は常に懸念されます。
過去にも日本国内でサイバー攻撃が激化したことから、2011年には経済産業省が「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン」を公開しました(2021年9月には第三版を公開)。
ガイドライン内では、クラウドサービスを利用する上で利用者が押さえておきたい注意事項や、事業者がクラウドサービスを提供するにあたって開示するのが望ましい情報などがまとめられており、クラウドサービスのセキュリティを担保するための大事な指針の一つとなっています。
セキュリティレベルを維持して業務システムを効率よく運用する方法
ここまで紹介した通り、セキュリティ面で比較した場合、オンプレミスは、独自のセキュリティ要件やセキュリティポリシーを設定できることや、厳格なセキュリティ体制を構築できるなどのメリットがあります。
一方クラウドは、一定のセキュリティは担保できるものの、利用するクラウドサービスのセキュリティポリシーに依存するところがあり、サイバー攻撃やデータ漏洩などのリスクは常に伴います。
しかし一見オンプレミスが適しているような、高度なセキュリティレベルを扱う業種だとしても、業務の内容によっては、クラウドの利用が可能です。
例えば、以下のような業務であれば、どのような企業においても、クラウドが比較的活用しやすく改善効果が期待できると考えます。
クラウドサービスが利用しやすい業務
1.顧客関係管理(CRM):
顧客情報の管理、顧客とのコミュニケーション履歴の追跡、マーケティング活動の分析などにクラウドサービスを活用する。
2.文書管理:
契約書、提案書、報告書などの文書をクラウド上で一元管理し、必要な時にどこからでもアクセスできるようにする。
3.経理・財務管理:
請求書の作成、経費の管理、財務報告などの業務をクラウドサービスを利用して行う。
4.プロジェクト管理:
プロジェクトの進捗状況の追跡、タスクの割り当て、チーム間のコミュニケーションなどをサポートするツールとして利用する。
クラウドサービスを利用した成功例を一つ挙げると、KDANの電子契約ツールDottedSign(ドットサイン)を利用して契約管理をクラウド化したLION TRAVEL(雄獅旅遊)という旅行代理店では、契約完結までの時間を1〜2日から約20分に短縮できました。
また契約書の電子化により、年間で4.5トンの紙を節約でき、環境保護のアピールにも繋がりました。
詳しくは、以下の記事をご参考になさってください。
【DottedSign導入事例】ライオントラベルの「環境の持続可能性」と「顧客体験の最適化」目標に向けて進展
今後、人員の確保がますます難しくなる時代、オンプレミスに加え、クラウドも上手に利用することで、コスト削減や業務効率化を実施していくことをお勧めします。
また、ハイブリッドな運用方法として、重要性の高いファイルはオンプレミス環境に保管し、社内外で共有するようなデータはクラウド環境で管理するなど、業務の特性ごとに使い分けることも有効です。
オンプレミス、クラウドどちらにも対応可能な電子契約サービスならDottedSign(ドットサイン)
今回はオンプレミスとクラウドの概要と、セキュリティ面を中心にそれぞれのメリットや活用方法をご紹介しました。
企業の中には、大量の重要な顧客情報や機密情報を扱っているため、セキュリティ面から契約管理をクラウドサービスに移行しにくいという方もいらっしゃると思います。
KDANの電子署名サービス「DottedSign(ドットサイン)」は、クラウド上の管理はもちろん、オンプレミスと融合して利用したい場合にも、カスタマイズで対応可能です。
企業様のニーズに合わせて、業務効率化とセキュリティレベルの確保をお約束します。
現在、DottedSign(ドットサイン)では、料金・プランページから「トライアルを始める」をご選択いただいた方に、14日間のトライアルをご提供しております。
契約管理を電子化して業務を効率化したいとお考えの企業様がおられましたら、ぜひお問い合わせください!