こんにちは、Kdanライターの津山です。電子契約のメリットでよく「収入印紙が不要になる」という話を耳にすると思いますが、その理由や法律的根拠を皆様はきちんと理解できているでしょうか?
印紙税は約150年前に日本で導入され、国の大事な収入源として企業から相当な印紙税を集めした。皆様の会社でも印紙の処理に煩わされたことが何度もあると思います。ですが正しい方法で契約や会計書類を電子化したら、もう印紙を張る必要がなくなります!
しかし法律的な根拠や、正しい電子化のルールを理解せずに資料の電子化を進めると、電子契約自体が法律的に無効で実は納税もれだった、などのリスクが生じる恐れがあります。
そこで今回は、印紙税の概要とリスク、電子契約で印紙が不要になる理由、さらに正しい電子契約の導入方法までを、経理部経験のあるライターの実例を交えて5分でまとめました!
印紙コストの削減や印紙管理の煩わしさから解放されたいとお考えの企業の皆様、このブログを読んでスムーズな電子契約への移行を達成しましょう!
目次
知っておきたい収入印紙の概要と怖いリスク
最初に現在の収入印紙制度の概要とリスクを紹介します。実は収入印紙は、費用の面以外でも企業のリスクになることがあります。意外と社内でも知られていないので注意が必要です。
収入印紙の概要
印紙税は、1873年に始まった「経済取引に必要な契約書や領収書などに課税する制度」です。印紙税が課税される書類は「課税文書」と呼ばれます。
印紙税導入の目的は、商人にも相当の課税義務を負わせることです。当時は商人の負担が農民より軽く農民の不満を引き起こしたので、商人だけに発生する文書課税を始めました。(参考:国税局HP)
印紙税の金額は200円〜60万円と幅広く、文書の内容により税額も変わります。経理のプロでも印紙が必要か不必要か見分けがつかない文書も多く、これまで印紙が悩みのタネだった企業も少なくないと思います。
収入印紙が必要な文書
実は印紙が必要な文書は大きく分けて4種類あります。特に多くの企業で使われるのが2号文書や3号文書です。
課税文書 | 文書の内容 | 印紙税額 |
1号文書 | 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書 | 非課税~60万円 |
2号文書 | 請負に関する契約書 | 非課税~60万円 |
3号文書 | 約束手形又は為替手形 | 非課税~20万円 |
4号文書 | 株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券 | 200円~2万円 |
この中でも2号文書は、工事やサービスの注文請書などを含み、経理の専門家でも特に判断が難しいと言われます。その理由は「印紙が不要な文書と内容がそっくり」だからです。もし印紙が必要ない書類に印紙を貼っていれば、それは無駄なコストの原因になります。
印紙がもたらす怖いリスク
印紙は処理が面倒という以外にも怖いリスクがあります。企業が押さえておきたいリスクを2つ紹介します。
① 印紙の貼り間違いによる追徴課税のリスク
印紙の貼り間違いによる追徴課税(申請した税額に誤りがあり差分税額を徴収されること)は度々発生します。よくある事例を3つ紹介しましょう。
<印紙間違いの代表的な事例>
事例1 請負契約を委任契約と間違えて、請負契約に印紙を貼り忘れた
事例2 契約内に2つ以上の課税事項が入っており、印紙の金額を間違えた
事例3 国外取引だから印紙不要と思っていたら、最終サインの場所が国内で印紙が必要だった
参考:国税庁ウェブサイト
筆者もかつて経理部で働いたことがありますが、印紙は国税局と何度も論争になりました。印紙の処理を間違えて追徴課税となると、最高で3倍近くの税金を払う羽目になるので、注意が必要です。
② 社内不正につながるリスク
印紙は郵便局やコンビニで買えるため、会社の現金を持って行って担当者が直接購入する場合があります。これは筆者の経理時代、本当にあった話なのですが、印紙が貼られていない書類が大量に見つかり、担当者が本来の印紙代を自分の懐に入れていた事件がありました。
紙の契約書を使い続けると、印紙代がかさむだけでなく、印紙によって法律違反やコンプライアンス違反など面倒な問題を引き起こすリスクもあるのです。
電子契約により収入印紙が必要なくなる理由
印紙の煩わしいリスクを解消し、印紙代も節約できる方法、それが電子契約の利用です。電子契約で印紙が不要になる理由を国税局の見解や法律をもとに説明します。
見解1 請負契約に係る注文請書について(福岡国税局)
本来課税文書である注文請書ですが、注文請書を電子化して電子メールで送信した場合、課税文書を作成したことにはならないとの見解が出ています。
見解2 コミットメントライン契約について(国税庁)
請求書や領収書をFAXや電子メールにより作成する場合、実際に文書の交付がないので、印紙税の課税原因は発生しないとの見解が出ています。
印紙税法基本通達第44条という項目で、相手に交付する目的で作成する課税文書(契約書等)は「作成」=現物(紙の原本)交付の時と決められています。つまり電子契約を使えば紙の原本は存在しないので、印紙は不要になります。
また「電子契約をプリントアウトして手元に置いておきたい」という方も安心してください。プリントして手元に置くものは原本でなくコピーなので、印紙は不要と国税庁の明確な見解が出ています。つまり法的に有効な電子契約を使えば、安心して印紙をなくすことができるのです。
電子契約を導入する時に気をつけたい2つのポイント
では実際に法的効力を持つ電子契約を導入するにはどうしたらいいでしょうか?ここでは電子契約に切り替える時に気をつけたい2つのポイントを紹介します。
自筆サインと同じ効力を持つ「電子署名」を利用する
電子契約に法的効力を持たせ、印紙がなくてもいい状態にするには、契約当事者本人がサインをする必要があります。そこで必要なのが「電子署名」の利用です。
電子署名とは、第三者による本人認証や高度な暗号化技術が使用された電子契約の認証方法です。電子署名法という法律で、電子署名は「自筆サイン」と同じ効力があるとされ、電子契約は本人の電子署名があって初めて紙契約と同じ法的効力が発生すると定められています。
電子署名の仕組みや、詳しいセキュリティ対策等は、以下のブログで詳しく紹介しているので参考にしてください。
電子帳簿保存法で定める要件を守ってデータを保管する
そしてもう一つ、印紙をなくすために必要なのが、電子帳簿保存法のルールに基づいた電子契約の保管です。
電子帳簿保存法では、書類の保存期間(7年間)や、保存要件、検索機能や変更履歴トラッキング機能の備え、改ざん防止証明のタイムスタンプの付与方法などについて詳しく定められています。
電子帳簿保存法は2022年1月の改正で、領収書など一部の電子文書は保存要件が緩和されました。日本文書情報マネジメント協会の「電子取引 取引情報保存 ガイドライン」に詳しい内容が記載されているので、電子契約書を利用する前に一度読み込むことをお勧めします。
また電子帳簿保存法の変更内容は以下のブログにも詳しく書いていますのでこちらも参考にしてください。
まとめると、印紙をなくすためには、ただ契約書をオンラインで作成すればいいというわけではありません。法律的に有効な電子署名サービスを利用し、電子帳簿保存法のルールを守って書類を保管する必要があります。
契約書電子化をスムーズに進めるためにはDottedSignドットサイン
ここまで読んでいただき、「印紙のリスクと電子契約の有効性はわかった。でも電子署名サービスの契約やタイムスタンプ導入が面倒…」と考えられる方もいるかもしれません。そこでお勧めしたいのがKdan社のドットサインの導入です。
ドットサインではブロックチェーン技術を利用した暗号化技術で文書のセキュリティを守り、日本をはじめほとんどの先進国の法律に適合する電子サインが可能です。また法的に有効なタイムスタンプも備えている上、変更履歴を完璧にトラッキングしており監査対策にも有効です。
そのほか便利な機能として、ipadなどを使った対面署名やワークフロー構築、サインミスがあった場合の差し戻し機能などが充実しており、業種や部署を選ばず契約書の電子化が可能です。
今すぐ印紙の煩わしさから解放されたいとお考えの企業の皆様、ぜひこちらからドットサインの14日間トライアルを試していただき、その利便性を実感してください!