こんにちは!Kdanライターの津山です。
日本では最近、政府による脱ハンコ宣言や電子帳簿保存法改正の流れを受けて、書類を電子化する企業が増えています。ですが皆さんは、企業が扱う書類のうち「電子化できない書類」があることをご存知ですか?
実は企業の書類には、法律で電子化が禁止されている書類や、決まった方法でしか電子化できない書類があります。もしこれらの書類を誤って電子化してしまうと、書類が法的に無効になってしまうリスクもあるのです。
そこで今回は、書類の電子化のプロであるKdanが、電子化のルールを定める主な法律、企業が電子化できない書類、そして効率よく電子化する方法・ツールまで、5分でまとめてお伝えします!
書類の電子化を検討中の皆様、このブログで電子化ができない書類の内容をきちんと理解し、法律に即した正しい方法で書類の電子化を進めていきましょう!
目次
書類の電子化で知っておくべき2つの法律
最初に書類を電子化する前に絶対知っておきたい法律を紹介します。それが「電子帳簿保存法」と「e-文書法(電子文書法)」です。それぞれの概要を簡単に説明します。
電子帳簿保存法
1998年に制定された、主に国税関係書類(契約書、請求書など)を電子化することを認めた法律です。
この電子帳簿保存法で絶対押さえておきたいポイントは以下の2点です。
<電子帳簿保存法のポイント>
- 「真実性の確保」:タイムスタンプの付与、電子署名によるサインなどを適切に行なっている
- 「可視性の確保」:取引年月日、勘定科目など特定の項目で抽出できる検索システムがある
タイムスタンプとは、電子文書がその時間に作成されたことを証明するもの、そして電子署名とは電子文書が正式であり、かつ改ざんされていないことを証明するものです。これらの役割や仕組みをさらに知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
ちなみに電子帳簿保存法は2021年に大きな改正があり、これまで必須だった税務署による事前承認が不要になりました。
e-文書法(電子文書法)
2005年に制定された、会社で扱う文書全体について電子データで保存することを認める法律です。e-文書法では経営・人事関連の文書、民法、商法、関税法、などに関する文書なども含まれます。(詳細は「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」を参考)
e-文書法では以下の4つの技術要件が定められています。文書によって適用される技術要件が異なるので、注意してください。
<e-文書法の技術要件>
「見読性」電子化されたデータが明瞭な状態で保管され、必要なときにすぐに表示、出力できる(全ての書類で必要)
「検索性」データを必要な時にすぐに探し出せる
「完全性」データに改ざんや消去がない、あるいはその事実を確認できる
「機密性」データへの不正アクセス対策が行われている
書類を電子化する2つの方法とポイント
書類の電子化には、スキャナ保存とオンラインで作成する2つの方法があります。どちらの方法でも、必要な時に検索や出力できる機能、変更履歴追跡機能、などを満たせば、電子化した書類が法的に有効になります。
① スキャナ保存
紙で受領・作成した書類を、スキャナを使い電子データで保存する方法です。
対象書類:取引相手から受け取った書類、自社が作成し取引相手に交付する書類(契約書や見積書など)の写し
② オンライン作成
コンピューターを使い、書類自体をオンライン上で作成する方法です。紙のテンプレートをスキャンして電子化し取引相手に発行した契約書(原本)なども含まれます。
対象書類:自社がコンピューターを利用して作成する書類・帳簿(契約書や見積書、決算関連書類や帳簿など)
法律対応要件 | スキャナ保存 | オンライン作成 |
---|---|---|
入力期間の制限(2ヶ月+7営業日) | ◯ | ー |
「取引先・日付・金額」などによる検索機能の備え付け | ◯ (必要な時に出力できれば更に要件が緩和される) | ◯ (必要な時に出力できれば更に要件が緩和される) |
変更履歴追跡機能の備え付け | ◯ | ◯ |
データ出力機能の備え付け | ◯ | ◯ |
タイムスタンプの付与 | △ (受領する書類はシステムで入力時期等が特定できれば不要) | △ (相手に交付する請求書、契約書などは必須) |
電子署名の付与 | ー | △ (相手に交付する請求書、契約書などは必須) |
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電子化ができない書類とは?
電子化の法整備は進みつつあるものの、まだ法規制により電子化できない書類もあります。それが不動産関係の契約書や決算帳簿のスキャナ保存などです。ここでは内容を簡単に説明します。
法律により紙交付が必須の書類
これまで不動産関連の書類は紙交付が必須でしたが、電子帳簿保存法の改正により、2022年以降に電子化できるようになりました。
しかし一方で、定期借地契約や特定商取引の契約書など、まだしばらくは電子化できない書類もありますので、十分注意してください。
<企業で扱う書類で電子化できない主なもの>
文書名 | 根拠法令 | 電子化解禁予定 |
---|---|---|
不動産売買・交換の媒介契約書 | 宅建業法 | 2022年5月 |
不動産売買・賃貸借契約の重要事項説明書 | ||
不動産売買・交換・賃貸借契約成立後の契約等書面 | ||
定期借地契約書 | 借地借家法 | 2022年5月 |
定期建物賃貸借契約書 | ||
定期建物賃貸借の説明書面 | ||
取壊予定建物の賃貸借契約における取壊事由書面 | ||
事業用定期借地契約 | 公正証書が必要なため、現時点では不可 | |
特定商取引(訪問販売等)の契約等書面 | 特定商取引法 | 2023年6月 |
不動産関連書類の電子化の解禁については、以下の記事もチェックしてください!
スキャナ保存では電子化できない書類
仕訳帳や総勘定元帳、棚卸表、損益計算書、貸借対照表などの「決算関係書類・帳簿」は、スキャナ保存による電子化が認められていないので注意が必要です。(電子帳簿保存法第四条第三項の規定による)
またこれ以外にも「電子化しにくい書類」があります。例えば小売業や不動産業に多くみられる「立ち会いが必要な同意書」や、「不特定多数の人がサインする申込書」などです。
ですがこれらの書類は「タブレット等で対面サインができる機能(対面署名機能)」や「リンクを送るだけで誰でもサインできる機能(Public form機能)」がある、KdanのDottedSignのような電子サインサービスを使えば、簡単に電子化できます。
詳しい機能を知り合い方はぜひこちらの記事をチェックしてください!
書類の電子化をスムーズに進める方法とツール
電子化できない書類は残るものの、今後は電子取引で生じた領収書の電子保存が義務化されるなど、確実に書類の電子化の流れが来ています。
紙書類をスムーズに電子化するには重要度や使用頻度の高いものから優先的に電子化するのがオススメです。
電子化により保管代や印刷費、印紙税等の削減になり、またテレワーク中に書類整理のために出社する必要も無くなります。
<優先度の高い書類の例>
- 税務調査対策で長期保管が必須の書類(契約書、請求書、決算書類など)
- 社内で頻繁に発行される書類(交通費精算書、稟議書など)
- 多数の人が提出する人事関係書類 など
これらの書類の電子化に欠かせないのが、DottedSign(ドットサイン)などの電子サインサービスや、電子化した書類を保管するクラウドサービスです。
「書類を電子化する2つの方法とポイント」で説明した通り、契約書や請求書の電子化には、法律に適合した電子サインツールによるタイムスタンプや電子署名が必要です。
またスキャナ保存の場合入力時間や変更記録が残るクラウドサービスを使えば、タイムスタンプが不要になります。
法的に有効かつ効率的に電子化するためにも、最初から電子サインサービスや変更記録が残るクラウドサービスを活用し、スムーズに電子化を達成しましょう!
ちなみに現在DottedSignでは14日間の無料トライアルも実施中です。書類の電子化を進めたい方はぜひこちらからお問い合わせください!