フリーランスや副業、兼業が当たり前になりつつある現代。企業と従業員の契約形態も多様化しており、それぞれに合った働き方の選択が可能です。中でも、業務委託契約はよく耳にする契約形態ではないでしょうか。その他にもさまざまな契約がありますが、皆さんは請負契約とはご存知ですか?請負契約とは、業務委託契約の形態の1つです。それぞれの契約形態の違いや関係性など、意外と詳細までは知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、請負契約とはどのような契約なのか、そして類似するその他の契約形態との違いなど、請負契約についての詳細をご紹介します。
目次
請負契約とは?
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請負契約とは、企業が業務を外部に委託する際の業務委託契約の形態の1つで、請負人が依頼された仕事の完成を約束する契約のことです。完成した対価として、報酬が支払われます。実は皆さんがよく耳にする業務委託契約とは、民法上で定められた法律ではありません。典型契約で規定された13種のうち、請負契約と委任契約(準委任契約)を包括した、実務上の取引のかたちを総称して業務委託と呼んでいるのです。
請負契約は、法的に「当事者の一方がある仕事を完成させることを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払う内容の契約(民法632条)」と規定されています。請負契約では、実際に完成した納品物に対して報酬が支払われ、仕事に有形、無形は問いません。しかし、依頼された仕事を、期限内に完成・納品まで行う必要があります。そのため、万が一成果物に不備があった場合、それに対する責任を問われる可能性もあります。
例えば、ソフトウェア開発やホームページ制作などが請負契約で締結される業務の例として挙げられます。その他にも、建物の設計や建設、音楽の演奏や講演など、無形のものも事例の1つです。
類似する契約との違いを解説
業務を外部に委託する際、請負の他にも委任や準委任、派遣などの言葉が利用されていますが、これらの契約はすべて少しずつ異なります。では、請負契約は委任契約や準委任契約、派遣契約と具体的にどのように違うのでしょうか。以下で解説しています。
委任契約
委任契約とは、請負契約と違って、「業務の遂行」が目的となります。「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾する内容の契約(民法643条)」と規定されており、業務を行ったという事実に対して報酬が支払われます。そのため、完成や成果物には関係なく、責任を問われることもありません。契約内容の業務を遂行していれば、特に問題ないということです。請負契約では、業務の完成、納品を目的とするのに対し、委任契約では、業務の遂行が目的となるため、その点で大きな違いがあります。
準委任契約
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また、準委任契約とは、「準委任契約とは、特定の業務を遂行することを定めた契約のこと」と定められています。委任契約と同じく、業務の遂行が目的ですが、委任契約との違いは、「業務に法律行為があるか否か」です。委任者が、法律行為以外の業務を受任者に依頼し、受任者は約束の期間のみ仕事の手伝いや業務の遂行をするのが、準委任契約となります。委任契約と同様、遂行が目的のため、業務の完成や納品に対しての責任を問われることはありません。その上で、業務内容が法律行為でない場合は、準委任契約となります。そのため、こちらも請負契約とは目的が異なります。
派遣契約
派遣契約は、法律上で「労働者派遣」と呼ばれており、労働者派遣法 第2条第1号で定められている契約形態です。派遣契約とは、派遣会社が雇用する労働者を、他社の指揮命令下で労働させる契約のことを指します。派遣会社は依頼会社に派遣する義務を負っており、その対価を受ける義務があります。そして、依頼会社(派遣先)は、派遣を受ける権利とその対価を支払う義務を負います。派遣契約の場合、業務の内容や就業時間など、法律上で定めなければいけない事項があります。遂行を目的としている委任契約、準委任契約や、業務の完成を目的としている請負契約と異なり、派遣先のために労働に従事させることが目的となります。
このように、請負契約、委任契約、準委任契約、派遣契約はそれぞれ混同されがちですが、すべて異なる契約内容なのです。
請負契約書に記載するべきこと
では、請負契約書にはどのような内容を記載しなければならないのでしょうか。
請負契約書には、代金の支払い方法や費用の負担、納入・検収方法、契約不適合責任、知的財産権、そして契約の解除についての記載が必要となります。それぞれについてさらに詳しく見ていきましょう。
代金の支払い方法
請負代金の全額、または一部の前金の支払方法を定めたもので、同時に支払いのタイミングについても記載する必要があります。また、費用とは業務を行う上でかかる交通費などの費用のことです。これらを請負人と依頼人のどちらが負担するかを先に決めておきましょう。
納入・検収方法
この項目の部分には、請負人がいつまでに完成物を納入するのか、時期や納入方法について記載する必要があります。検収方法とは、完成した成果物に対して、依頼人が納品とするか否かを確認する作業を指します。検収を行う場合、どのような状態であれば納品とするのかの合格基準や、不合格になった場合の再検査方法を記載しておくべき項目となります。そもそも、検収を行うという旨についても、契約書に記載しておく必要があります。
契約不適合者責任
契約不適合者責任とは、契約書に定めた保証期間内に契約不適合が発見された場合には、請負人が無償で補償しなければならない制度です。民法第637条にて、「不適合を知った時から1年以内に注文者が請負人に修補請求を行わなければ損害賠償請求・契約解除ができなくなる」と定められています。
知的財産権
知的財産権とは、経済産業省の特許庁によって「知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度」と定められており、具体的には特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権などのことを指します。成果物の内容によって知的財産権が発生する場合、請負人と依頼人のどちらに知的財産権が帰属するのかを事前に記載しておくと良いでしょう。
契約の解除
そして最後に、契約の解除についてです。どのような場合に契約解除が可能なのかを明確にしておく必要があります。事前告知の期間やどのような際に解除を行うかなど、解除の条件を詳細に定めて記載しておきましょう。
請負契約は口約束でも成立するため、請負契約書については、作成の義務はありません。しかし、外部に業務を依頼する以上、さまざまなトラブルが起きるリスクを考え、事前に契約内容の詳細を定め、請負契約書を作成するのが一般的といえるでしょう。
電子契約サービスを活用して請負契約書の作成を効率化!
ここまで請負契約について、その概要やその他の契約との違い、そして請負契約書に記載するべき項目などをご紹介してきました。最後に、昨今話題になっている電子契約についてです。
最近では、紙媒体に代わって電子契約サービスを採用する企業が増えてきています。働き方改革やリモートワークの普及など、多くの要因があり、企業が行う多くの作業が電子化されています。そのような中で、契約作業も電子化することでオンライン上で完結できるサービスが出てきているのです。以下では、その中でもおすすめな「DotteSign」についてご紹介します。
「DottedSign(ドットサイン)」
DottedSignとは、Kdan Mobileが提供している電子契約サービスです。クラウドベースで契約業務を安全かつ迅速に行うことができるツールです。契約締結の作業一連を、すべてオンラインで完結させることができるため、業務の効率化・プロセスの簡易化を実現します。DottedSignを使うことで、従来の古風な契約書への署名プロセスを自動化し、場所やデバイスを問わず契約書の準備から締結までを完了させることが可能です。さまざまな機能が搭載されており、タスクの一括送信や一元管理も可能で、手続きにかかる手間や時間を削減するだけでなく、多くの作業の利便性や効率の向上を図ることができます。詳細については、ぜひ一度公式HPを確認してみてください。
まとめ
いかがでしたか?本記事では、請負契約について色々な観点からご紹介しました。さまざまな契約形態が存在し、同じ会社に勤めていても人によって契約条件や働き方が全く違うということも多くある現代。だからこそ、それぞれの契約内容の違いを詳しく知っておくことが必要となるかもしれません。