こんにちは、Kdan ライターの佐藤です。
2020年に始まったコロナウイルスはワクチンの接種が始まり、ようやく収束の希望が見えてきました。この一年で色々な変化がありましたが、中でも私たちの働き方は特に変わりました。
今までリモートワークをするか否か議論していたのが、今ではリモートワークはすることを前提に、週に何回するか議論されています。
そして働き方が変わったのは日本だけではありません。海外もリモートワークが急速に広がりました。
アメリカの一部 IT 企業はコロナウイルス以前に既にリモートワークを導入していましたが、現在はIT に限らず多くの会社がリモートワークを導入しています。
その一方でコロナウイルスをほぼ完全に封じ込めた台湾では、リモートワークを実践している企業はほとんどありません。
今回のこのブログでは、コロナ渦での海外のリモートワークを徹底検証し、海外の企業はリモートワークに対して今後どのような考えを持っているか検証したいと思います。
海外のリモートワーク事情を知ることで、今後のリモートワークの方向性や戦略を計画するのに役立てば幸いです。
目次
コロナ渦のアメリカのリモートワーク
まずはアメリカのリモートワーク事情についてお話をしたいと思います。Upwork 社が2020年の10月21日から2020年の11月の間に1,000の中小企業に対して行った調査によると、41.8%のアメリカ人はリモートワークをしていることがわかりました。
また、Upwork 社の調査によれば、今回の調査をした1年後も平日フルタイムでリモートワークを行う企業は全体の26.7%なると予想されています。
つまり、リモートワークが十分可能であるとわかったアメリカの企業は今後も積極的にリモートワークを導入するものと思われます。
また、Upwork の調査が行われた3ヶ月前の2020年7月にガートナー社が行った調査によると、コロナウイルス収束後も47%の企業リーダーは社員の一部をフルタイムでリモート勤務させる意向であることがわかりました。
PwCが行った669人のCEOに対する調査では78%のCEOがリモートで働くことに同意しています。
しかし、なんでもかんでもリモートワークにするというわけではなく、徐々にオフィス勤務を復活させリモートと通勤のハイブリッドモデルを模索している企業が増えていることもわかりました。
コロナ渦のヨーロッパのリモートワーク
次にヨーロッパのリモートワークの事情についてお話をしたいと思います。
ヨーロッパではコロナウイルス以前は5.4%の人しかリモートワークを行なっていませんでしたが、2020年の9月に発行されたEurofound の調査によると、コロナウイルス以降は実に40%の EU加盟国の人がフルタイムでリモートワーク勤務をしていることがわかりました。
また、JRC の調査によると、ヨーロッパ全体では25%の人がリモートワークをしていると予想しています。
ヨーロッパでは今まで一部の業種や一部の先進的な国でしかリモートワークは一般的ではありませんでしたが、コロナウイルスを機にリモートワークに積極的でなかった国や業種もリモートワークを始めました。
それでは今後はどうでしょうか?
VOXEUの記事では、テレワークは雇用主と従業員の間に高いレベルの信頼が必要になり、従業員はこれまで以上に自律性が必要になるため主体性が生まれると話しています。
その一方で、ITやデジタル化についていけないリモートワークができない人とできる人の間で労働格差が生まれることを危惧しています。
コロナ渦のアジアのリモートワーク (台湾の事例)
次にアジアにおけるリモートワークの事情についてお話をしたいと思います。今回はアジアの中でもコロナウイルスを唯一抑え込んだ国の一つとして知られる台湾について触れたいと思います。
天才IT大臣と言われるオードリー・タン氏がいるコロナウイルスが流行しなかった台湾でもリモートワークは普及しているのでしょうか?
結果はほとんど普及していません。
2021年3月7日に出た聯合新聞の記事によると、労働部(日本でいう厚生労働省)の調査によると、実に75%もの人が自分の仕事はリモートでは出来ないと考えていることがわかりました。
実際、台湾ではリモートワークが比較的に進んでいる『金融』、『出版』、『IT』、マスコミでもリモートワークを実施している割合は40~48%ほどでした。
また、アメリカの PwCの調査では78%もの CEO がリモートワークに同意しているのに対して、台湾では管理職のうちリモートワークが可能と答えたのは35.6%に止まりました。
台湾ではコロナウイルスの変異種が世界的に流行した際に、一部の企業が一瞬リモートワークを検討しましたが、その後は何もなかったかのように全てが通常通りに戻りました。
海外の企業がリモートワークも今後を続ける理由/メリット
海外の企業がコロナウイルス後もリモートワークを続けたいと考えている理由はなんでしょうか?
以下、flexjobs の調査結果から見えたリモートワークを続ける理由をいくつか挙げたいと思います:
1. 人材の雇用:Flexjobs の調査ではアメリカ人の実に96%がフルタイムかオフィスとリモートワークのハイブリッド通勤を希望していることがわかりました。リモートワークを実施しないことが人材採用に影響する可能性があります。
2. 生産性アップ:Costs And Benefits の調査では、リモートワークで生産性が35%-40%アップしたと報告されています。理由は主に以下です:
- 同僚から話しかけられることが減った
- 集中できる時間ができた
- 静かな労働環境
- 社内政治に巻き込まれない
3. コストカット:調査では、労働者の27%がリモートワークを実施してくれるなら給与を10%から20%カットされることに同意すると答えました。また、日本企業は通勤コストを負担する必要がなくなります。
海外の企業に学ぶ今後のリモートワーク戦略
最後に日本の企業はリモートワークに対してどのような対応をしていくべきか、私なりの提言をしてこのブログを終えたいと思います。
まず結論を言います。リモートワークは人材の採用という観点から確実に実施した方がいいと思います。
周りが当たり前にリモートワークをやっている中、自分達だけがリモートワークを実施しないと、人材から選ばれない可能性が高いためです。少子高齢化が進む日本では人材の奪い合いは熾烈を極めます。
リモートワークが生産性に貢献するか否かは議論の余地がありますが、アメリカでは就職を希望している人のうち 96% が企業にリモートワークを希望していることが調査で明らかになっています。人材採用のためにリモートワークは不可避でしょう。
また、リモートワークが普及していない台湾では、今後アメリカや日本の働き方を追随するように、リモートワークに本腰を入れる可能性があります。
その時、リモートワークをすでに実践している日本はリモートワーク先進国になります。リモートワークに便利なソリューションを提供している会社は台湾の会社に売り込むチャンスが訪れます。
リモートワーク時も勤怠を管理できるシステムや、出社しなくても決済や稟議書の承認が可能な電子署名などはその一部です。
また、リモートワークが進めば、国籍や国境という概念が消えます。日本企業が海外にある企業に直接仕事をアウトソースをすることがより加速するでしょう。
このブログが今後のリモートワーク戦略を計画する上で参考になれば幸いです。