【台湾スタートアップについて徹底解剖】台湾スタートアップの環境や優位性とは

こんにちは、Kdan のライターの佐藤です!

Kdan は台湾で10年前に始まったスタートアップ企業で、現在までに中国、米国、そして日本にも展開しているのですが、その事を知っている人はいますか?皆さん知らないですよね?(笑)

実は台湾にはKdan のようにグローバルに羽ばたくスタートアップがいくつも存在します。2020年のアメリカで行われた CES (世界最大級の家電製品見本市)では台湾のスタートアップ82社が出展し、なんと13社がイノベーションアワードを受けています。

参考:13 Taiwan startups win CES 2020 Innovation Awards

台湾のスタートアップシーンは恐らく皆さんが思っているよりも盛り上がっています!

今回のこのブログでは台湾でスタートアップ、つまり起業を考えている方向けに、台湾のスタートアップの環境や台湾で起業するメリットについてお話ししたいと思います。その他に、僕自身の実例を基に台湾で起業するメリットをご紹介できればと思います。

また、ブログの最後では現在グローバルに展開する台湾発のスタートアップ企業を3つご紹介したいと思います。このブログが台湾でスタートアップを考えている方の参考になれば幸いです。

台湾スタートアップの環境

私は台湾に住んでもう6-7年になりますが、台湾はスタートアップや起業に対して比較的に寛容的な国だと思います。これは私の知り合いのお話ですが、マッサージ業を営む彼いわく、台湾の方は2-3年勤めると独立を考える方が多いそうです。そんなスタートアップや起業する事に開放的な台湾には起業家を育成する施設が台北だけでも27箇所あります。

参考:StartUP@Taipei

また、インキュベーターの存在も欠かせません。台湾にはアクセラレータといって、起業家への投資と育成の両方を行う施設があります。これも台北だけで15箇所あります。

台湾スタートアップマップ

参考:StartUP@Taipei

そのほか、『數位時代』というデジタル関連の記事を発行するメディアが主体となって始めた「創業小聚」は台湾にいるスタートアップ企業同士を繋げ、スタートアップのコミュニティを形成しています。

このように台湾でスタートアップをしようとすると、思いの外リソースがある事が分かります。

台湾スタートアップの地域性

ここまで読んでみて、「よし!台湾でスタートアップしよう」と思った方へ私からとっておきのアドバイスをいたします。それがスタートアップの地域性です。スタートアップの地域性とはどういう事かというと、台湾は地域によって支援している業種や産業が異なるという事です。

基本的にスタートアップは投資を受けたい場合、出資する人や会社が求めている産業で起業する必要があります。例えばサイバーエージェント社の VC はインターネットビジネスに特化したビジネスに投資する方針と書いています。そのためカフェを開きたい人がサイバーエージェント社に出資を求めても難しいでしょう。

このように出資を希望する場合は出資をしてくれる会社や、起業を後押しする地域がどんな産業を支援するか調べると、支援を受けやすくなります。台湾では、台北はデジタルと文化系の産業に注目をしていて、桃園はグリーンテックやバイトテックに注目しています。

参考:2020 台灣新創生態圈大調查 六都產業與長野資源地圖特刊 (P.8)

台湾でVCのみならず行政の支援も考えた場合、この地域性に着目して、起業する地域がどんな産業を支援しているか考えてみてはいかがでしょうか?

台湾スタートアップのメリット

次に台湾でスタートアップするメリットについてお話をします。ここからは台湾で起業して間も無く5年目を迎える私の個人的な感想を述べます。

その1. オフィスのコスト

私が2017年に台北で起業した時に借りたオフィスの家賃は月7,000 元 (日本円で28,000円ほど) でした。場所は台北の割と中心部の小巨蛋という場所です。台湾では税金の都合上、住んでいる場所で登記をする事は基本的に出来ません。そのためオフィスを借りる事になりますが、これが台湾は比較的に安いと思います。

ちなみに、コロナウイルスによってリモートワークがこれだけ普及した現在、オフィスは必要ないと考える人もいるでしょう。私は個人的にいると思っていて、台北だとレンタルオフィスであれば 30,000 – 40,000円ほどで借りられます。

その2. 人材コスト

台湾人の平均給与は43,000NTD と言われており、これは日本円で17万円ほどです。

2021年7月現在台湾ドルは円に対して高騰しており、43,000NTD を円換算すると17万円ですが、円安が落ち着けば通常は15万円ほどです。新卒の給与は台北市で30,000NTD が相場で、これは円換算すると12万円ほどです。

新卒や複数年の勤務経験者を雇った場合、大体日本の半分ほどのコストで人材を採用出来ると考えても間違っていません。

ただし、台湾は離職率が高い事でも有名です。例えば新卒者の75%は2年以内に辞めるというデータもあります。このため、起業時に離職者が出ても会社が回る仕組み、外部パートナーとの関係構築、求人が常に応募する仕組みづくりを考えておくといいと思います。

その3. 日系という強みと差別化

私は4年前に台湾でデジタルマーケティングの会社を立ち上げましたが、私が日本人でなければとても苦労したと思います。自分自身が日本人であるという特性を生かして、日系の会社をターゲットに出来たことが会社の差別化につながりました。

大注目の台湾スタートアップ企業3選

最後に台湾で今大注目のスタートアップを3つご紹介してこのブログを締めたいと思います!

Appier

appier HP

まずはAppier をご紹介します。Appier はAI の専門家だった (CEO) チハン・ユーと彼のパートナー2人が共同で創業したAIテクノロジー企業です。AI と言っても色々な用途がありますが、appier は主にマーケティングの効率を上げるために AI を活用している会社です。

難しい話はここでは避けたいと思いますが、簡単にご説明するとAI を活用してより的確にサービスを必要としている人にリーチするようなツールを提供しています。

創業は今から約10年前の2012年で、その後アメリカを代表する超有名VC セコイアキャピタルから出資を受けた事で話題になりました。その後も様々な 企業から出資を受け順調に世界各地へ拡大し、2021年3月にはついに東証マザーズへ上場を果たしました。

Pinkoi

pinkoi HP

コロナウイルスで外出が制限される中、企業はウェブ上に活路を求めました。実に多くの企業がECサイトやECモールへ出店を加速した中、ユニークな特徴で注目を集めたのが Pinkoi です。

Pinkoi は世界のデザイナーやクリエイターが直接消費者に自分達のプロダクトを売れる通販サイトです。ECサイトには可愛らしいおしゃれな雑貨が展示されており、一度訪れると思わず長居してしまいます。

出店商品がおしゃれな理由は厳しい審査基準です。この EC サイトでは誰もが出店できるわけではなく、厳しい審査に合格した商品のみ出店ができます。台湾の雑貨に興味があるような方は是非一度覗いて見てください!

Kdan Mobile

Kdan HP

最後にご紹介したいのは我が Kdan です!笑

世界で5000万人に使用されている PDF リーダーを開発した台湾のスタートアップ企業です。PDF を読むソフトは Adobe も提供していますが、Adobe の無償の PDF リーダーは機能の制限が多く、よく有料版にアップグレードするよう促されます。

Kdan の PDF リーダーも無償版と有償版があるのですが、有償版は Adobe の有償版とほぼ同じ機能をAdobe よりも安く利用できることもあって世界中で愛されています!5000万人のダウンロードは狙っても中々出来るものではありません。

創業者のケニー・スー氏は2016年にAAMA (アメリカのシリコンバレーで発足したアジアとアメリカのビジネス強化及び若手起業家を支援する団体)のメンバーの一人に選ばれています。

DottedSign

dottedsign

そんな勢いに乗るKdan が満を持して投入したのが電子署名サービスのDottedSignです。

2020年に日本でコロナウイルスがちょうど拡大し始めた頃、捺印のためだけに出勤する一部の人がニュースになりました。電子署名を使えば会社に行く必要はありません。

2021年7月15日現在、台湾でもコロナウイルスが拡大し外出が制限されています。また台湾の CDC (衛生福利部) は今後台湾国内でコロナウイルスの感染者が0人になる事は難しいと発言をしています。つまり、リモートワークは今後も普及していくことが予想されます。

私は今回リモートワーク中にちょうど数社と契約を締結する事になり、その内1社は DottedSign を使用して契約を交わしました。本当に便利でした。台湾では電子署名も十分法的な効力があります。

なお、台湾では2021年7月15日現在、政府が中小企業のDX化推進のために様々なツールをお得に使える補助サービスを受け付けています。これに申請すると、DottedSign のみならず、他の DX ツールもお得に使えるようになるので、この機会に是非ご検討ください!

以上Kdan ライターの佐藤から、台湾のスタートアップについてでした!

applemint 代表。台湾でデジタルマーケティングの会社を起業。換日線へのコラムや各種メディアに記事を寄稿。デジタルマーケティング業務の他、執筆活動を精力的に行う。https://www.applemint.tech/

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