【日本が羨む!?】台湾マイナンバー事情

こんにちは、Kdan ライターの佐藤です。

2021年11月に日本では政府がマイナンバーを普及させようとマイナンバーカードの保有者に「最大で2万円」のポイントを付与する事を決めました。

日本におけるマイナンバーの普及率は低く、2021年11月になった今でもマイナンバー普及率は40%にも達しません。

これがお隣の台湾に目を向けると、台湾ではマイナンバーは当たり前になっており、国民健康保険から銀行口座までほぼ全てがマイナンバーと紐づけられています。

そのため、例えば確定申告などの手続きは基本的にオンラインで行えます。また、病歴も一つの番号に保存されるため、例えば私がA病院に行った後B病院に行ったとしても、B病院の医師は私の国民健康保険カードの番号を参照してどんな治療をしてきたか把握できます。

今回のこのブログでは台湾のマイナンバー、厳密には『身分證』と呼ばれる個人ID がどのような背景で普及し、どのように活用されているかをご紹介します。またブログの最後にはこのマイナンバーのセキュリティについてお話をします。

日本のマイナンバーの参考になれば幸いです。

台湾のマイナンバーとは? (中華民國國民身分證)

台湾には『中華民國國民身分證』という10桁のマイナンバーがあります。このマイナンバーにはきちんとルールがあり、まず生まれた場所によって最初の番号が決まります。例えば台北で生まれた人はマイナンバーの最初の文字が「A」から始まります。

次に性別や国籍によって2桁目と3桁目が決められ、4-10桁の数字はユニークな数字が付与されます。

参考:中華民國國民身分證

ちなみに上記の『中華民國國民身分證』のイメージ写真の女性はコンピューターで作った合成写真です(この写真が出た当時はこの女性が誰なのか議論を呼びました。)

日本と違い、台湾ではこのマイナンバーを持たない人を見つける方が至難の技です。ちなみに日本でいう国民健康保険の事を台湾では「全民健康保険」と言い、加入者は「全民健康保険 IC カード」が発行されます。この健康保険の IC カードにはマイナンバーの番号が明記され、何と国民の99%が保有すると言われています。

このように台湾では日本でいうマイナンバーがもはや当たり前すぎて誰も特に意識していないのが現状です。ではどのようにしてここまで普及したのでしょうか?

台湾のマイナンバー (中華民國國民身分證) の歴史は古い

台湾のマイナンバーの歴史はかなり古く、日本統治時代まで遡ります。その当時の日本は台湾人の管理を容易にするため、身分証を発行していたのです。

戦後この身分証は廃止されたのですが、その後台湾に来た国民党が中国共産党の台湾侵入を防ぐために国民調査を行い、その後IDカードが発行されるようになりました。これは1949年の出来事です。

つまり、台湾にとって ID カード (マイナンバー) は台湾人と中国の共産党員を見分ける国防の意味でもとても重要だったという事です。

その後ID カードは偽造防止やデザインを変える目的で何度もリニューアルを繰り返しました。2008年に制定された《戶籍法》によると、IDカードを携帯しない事は違法ではないものの、もしも警察から身分を確認された場合にIDカードを携帯していない場合、本人確認のため最大で3時間の拘束が可能となっています。

台湾では突然身分証を求められる機会は意外に少なくないため、私は必ず居留証(外国人の身分証)を携帯し、友人も身分証を常に携帯している印象です。

台湾のマイナンバー活用事例:確定申告

台湾の ID (マイナンバー) を持っていて便利な事の一つにオンラインでの確定申告があります。台湾では毎年5月頃に確定申告を行う必要があるのですが、2021年5月はちょうどデルタ株拡大と重なり、税務局での確定申告は少し延期となりました。

しかし、再開後も多くの国民はデルタ株のせいで外出を控えました。では台湾人はどうやって確定申告をしたかというと、私の周りの友人の多くはオンラインで確定申告を済ませてしまいました。

私は不幸にも、自分のID番号が台湾のオンラインシステム上ではじかれるため、仕方なく家の近くの税務署のような場所に行きましたが、周りはオンラインの申請に疎い高齢者ばかりで若者の姿はあまりありませんでした。

台湾のマイナンバー活用事例:国民健康保険 (全民健康保険)

台湾の国民健康保険証のカードには身分証明書番号と写真が記載されており、実は身分証明書のような役割も持ってます。カードにはチップが内蔵されており、チップには病歴や予防接種の記録など、その人が加入している健康保険に関する情報が保存されています。

通常病院の予約や診断の際はこのカードを使うのですが、現在はこれが更に進化し、病院によっては『全民健康保険』のアプリを使って診察の予約ができるようです。

私が『全民健康保険』とマイナンバーが連動されている事に利便性を感じたのは、肩の治療のため病院を変えた時です。まずは大病院で精密検査を行なった後、リハビリは家の近所の病院ですることになったのですが、病院を変えた際、医師が私のIDに紐づけられた病歴をクラウド上で確認してリハビリ内容を決めてくれました。

このように、個人のID と健康保険が紐づいていれば病院が変わっても患者のIDを参考すれば過去の病歴が確認できます。これはかなり便利だと感じました。

台湾eID (デジタルマイナンバー)のセキュリティ

台湾では ID カードの偽造防止のために今まで幾度となくリニューアルをしてきたお話を冒頭でしました。実は台湾ではこの ID カードを完全にデジタル化する動きがあります。

所謂eID (デジタルID) と呼ばれるもので、このeID により出産支援や教育支援、その他就職支援もオンライン上で個人に合わせて行うという計画です。また、今までオンライン上で難しかった行政への申請もデジタル化するという事です。

例えば台湾では外国人の労働許可証を申請する際、個人IDとは別に自然人憑證というカードを使う必要性があります。その後外付けのカードリーダーを使いリモートアクセスサーバーを使って行政のネットワークにログインします。

今回のeIDの計画はこのような作業を全てデジタル化するというものです。

しかしこの計画は予想以上に反対の声が多く、頓挫しています。理由はセキュリティです。

まず、台湾人権基金会と、テクノロジーコミュニティのグループであるオープンカルチャー基金会が個人データ保護のための特別な機関を設立するよう政府に求めました。

また、2020年1月15日は台湾人権基金会、開放文化基金会、ソフトウェア自由協会、民事司法改革基金会などの市民社会団体が立法院で記者会見を行い、デジタルIDカードは個人情報保護のリスクがあり、情報セキュリティが不十分であることを指摘し、立法院に安易に予算を公開しないよう求めました。

そのほかに台湾には個人情報を保護するための専門的な法律が整っていない事を指摘する声は大きいです。台湾政府はデジタル化を急ぎすぎた事で国民への説明や法整備が不足し、それが国民の不信に繋がったのです。

これが eID の先進国エストニアでは、誰が、いつ、何のために自分のデータにアクセスしたのかをいつでも確認することができ、何か異常な動きがあればすぐに対応し、苦情を申し立てることもできます。これをデジタルフットプリントと呼んだりします。

日本のマイナンバーカードはeID の一歩手前の施策ですが、セキュリティもさることながらマイナンバーカードに関連した法整備と国民への丁寧な説明が普及の鍵と思われます。

セキュリティに強い DottedSign (ドットサイン)電子署名

ここで最後に台湾の電子署名サービスドットサインをご紹介します。

日本政府がマイナンバーをここまで推し進める理由の一つが DX です。今まで紙で行ってきた作業をデジタル化する事によって煩雑な作業を簡素化しようとしています。

デジタル化を進める際に必ずボトルネックになるのが、今まで印刷していた書類の電子化とそのセキュリティです。台湾政府はセキュリティのリスクを指摘され、法整備が不十分だったため頓挫しました。

ドットサインではセキュリティが強固なのはもちろん、前章で述べたエストニアのデジタルフットプリントのように、電子署名に対して誰がいつ、どんなアクションを取ったか全て見れます。

セキュリティは世界最高レベルのAATL認証局と連携しており、世界で最も厳格な法規制要件への準拠に使用する証明書ベースのデジタル ID とタイムスタンプサービスを発行します。

現在ドットサインは14日の無料トライアルを実施しています。ぜひこの機会にドットサインの利便性を体験してみてください!

applemint 代表。台湾でデジタルマーケティングの会社を起業。換日線へのコラムや各種メディアに記事を寄稿。デジタルマーケティング業務の他、執筆活動を精力的に行う。https://www.applemint.tech/

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