【​​中小企業におすすめのDX補助金を紹介】導入事例と重要監査対策3点も

この記事では、中小企業だからこそ活用できるDX補助金制度と、実際の活用事例、補助金申請時の監査トラブルを防ぐための3つの対策をご紹介いたします。

補助金申請時の監査トラブルを防ぐために必要な3つの対策をご紹介いたします!こんにちは、Kdanライターの津山です。

日本政府は2021年、官⺠を挙げたデジタル化の加速による競争力の強化を、将来目標として掲げました。その中の具体的な対策として取り上げられたのが、民間企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

DXという単語は、日本国内におけるGoogle検索量がここ5年で大幅に増加しており、企業の競争力を高める手法として、現在、非常に注目度が高まっています。

しかし残念なことに、日本の中小企業においては、DXに取り組んでいる割合は、たったの7%に過ぎません。中小企業の70%は導入に必要性を感じているものの、実際は、システム導入のための予算や、専門人材が不足しているなどの理由から、実施を躊躇しています。

そんな中小企業にとって、DX推進の強い味方となるのが、ITツール導入費用に補てんできる、DX関連の補助金です!

しかし補助金は、便利な一方、提出資料や監査により費用の詳細が逐一確認されるため、事前準備を怠れば、返金等のペナルティにつながることもあります。筆者も以前、メーカーで補助金申請を担当しましたが、手続き上のミスで国から補助金の返金を求められる事態となり、大変苦労しました。

そこで、今回は、中小企業の方にご活用いただきたいDX補助金と、補助金案件における監査トラブルを防ぐために必要な3つの対策を、まとめてご紹介いたします!

日本政府が推進する企業のDXとは?

日本政府が推進する企業のDX

最初に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の概要についてご紹介します。企業のDXとは、データとデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務などに変革をもたらし、そこから企業の競争力を高めて、収益を拡大することを目指します。

DXには大きく分けて3つの段階があります:

  1. 電子化(Digitization)
  2. デジタル化(Digitalization)
  3. デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)

電子化とは、紙の契約書や請求書をPDFに変換する等、アナログなデータを電子化することを指します。そしてデジタル化とは、電子化されたデータを活用し、マーケティングを行ったり、電子契約ツールや会計ソフトなどで管理したりすることを指します。

そして、上記のようなデジタル技術を通して、業務や組織を変革することが、最終的に企業のDXにつながります。

DX補助金の対象となるITツールと注意点

DX補助金を活用した中小企業のDX事例

国や地方自治体は、企業のDXを推進するために、ITツールの導入費用等を補てんするための補助金を用意しています。

具体的には、CRM(顧客関係管理)ツール、生産管理システム、電子契約ツール、勤怠管理システムの導入費用、ITツールを活用する際のコンサル費用などが、補助金の対象に含まれます。

補助金と助成金の違いとは?

DX関連の支援制度には、大きく分けて「補助金」と「助成金」の2種類があります。

どちらも、企業のDX対策でかかったコストに対し、資金を援助してくれる制度ですが、実際にお金を受け取る時期が異なります。

「助成金」は、企業が実際にツールを導入する前でも、期日が来れば支援金を受け取れますが、「補助金」は、企業が負担した額に対して支援金が出るため、申請が通ったとしても、最初は企業がツール費用等を全額負担する必要がある、という点に注意が必要です。

中小企業におすすめのDX補助金・助成金

中小企業におすすめのDX補助金と助成金

では実際に、中小企業の皆様にお勧めしたいDX関連の補助金をご紹介します!

今回は、2022年10月時点で、中小企業だけが申請できるDX補助金・助成金について、代表的な制度を4つ厳選いたしました。

名称内容補助金額支給対象
IT導入補助金(経済産業省)ITツールの導入経費(例:ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、ハードウェア購入費、等)5万円~450万円全国の中小企業(業種により、資本金や従業員の規模が異なる)
ものづくり・商業・サービス補助金(中小企業庁)経営革新のための設備投資等(例:機械装置・ システム構築費、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、等)※単価50万円(税抜)以上の設備投資が必須750万円~3,000万円全国の中小企業(業種により、資本金や従業員の規模が異なる)
生産性向上のためのデジタル技術活用推進助成金(東京都)見える化、自動化、ペーパーレス化などのための設備投資等(例:機器・ロボット導入費、システム構築費、ソフトウェア導入費、クラウド利用費、データ分析費、等)30万円〜300万円東京都内に主たる事業所をおく中小企業(業種により、資本金や従業員の規模が異なる)
テレワーク促進助成金(東京都)在宅勤務を可能にする情報通信機器(モバイル端末等)や 業務関連ソフト等※業務改善や効率化のためのシステム導入は助成の対象外最大250万円東京都内に主たる事業所をおく中小企業(業種により、資本金や従業員の規模が異なる)
独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21を参考に作成

上記のうち、特に「IT導入補助金(経済産業省)」や、「生産性向上のためのデジタル技術活用推進助成金(東京都)」は、無料で専門家のアドバイスを受けられる上、幅広いITツールの導入費用が対象に含まれます。

電子契約システムや、勤怠管理システムなど、業務効率化に直結するITツール単体での導入をお考えの企業様には、特にお勧めできる補助金です!

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中小企業がDX補助金を活用した事例2選

実際に経済産業省の「IT導入補助金」を活用した中小企業2社の事例をご紹介します。

事例1:小幡建設工業株式会社

事例1:小幡建設工業株式会社
引用元:小幡建設工業株式会社公式HP
  • 課題:建設現場労働者のタイムカード打刻のためだけの出勤による残業
  • 補助金対象: オンラインで打刻できる「就業管理ソフト
  • 補助金額:ITツール導入費用の2分の1
  • 成果:残業時間が3分の1に減少

事例2:株式会社ハイラス

事例2:株式会社ハイクラス
引用元:株式会社ハイクラス公式HP
  • 課題:急速な事業拡大に伴う顧客管理やスケジュール管理の煩雑化
  • 補助金対象:クラウドサービス 「Microsoft Office 365」、顧客管理を自動化する「CRMシステム
  • 補助金額:ITツール導入費用の3分の2
  • 成果: 対面ミーティングの時間を50%削減、顧客管理を効率化

DX補助金の監査でペナルティを受けないための3つのポイント

DX補助金の監査でペナルティを受けないための3つのポイント

では最後に、補助金の監査で、返金等のペナルティを受けないために企業が意識すべき3つのポイントをご紹介します。ここでは、説明を簡潔にするため、助成金と補助金をまとめて「補助金」という表現で統一します。

ポイント1. 事前準備の徹底

補助金の対象となる費用には、物品費以外にも、人件費や、光熱費など、請求書などで支払いが明確に特定できない費用が含まれることがあります。

企業がもし準備を怠り、費用の内訳を証明できないような事態になれば、罰則により、補助金の返還が生じたり、補助金申請自体が認められなくなったりするリスクを招きます。過去に筆者がメーカーで担当した補助事業では、間接費用の準備が不十分だったために、監査で指摘を受け、補助金の一部を返金させられる事態が発生しました。

補助事業においては、最初に提出資料のフォーマットを全て確認し、申請で使用するデータ(例:勤務時間や設備稼働時間)を収集するためのエクセルや、間接費用の按分ルールなどを、整えておく必要があります。

ポイント2. 補助金事業の責任者の選定と関係者へのルール周知

補助金は国や地方自治体の税金から支払われるため、申請や受け取りの手続きはそこまで簡単ではありません。

きちんと最初に責任者を決めて、全ての資料を読み込んでルールを理解すること、そしてその内容を、全ての関係者に説明会等を通じて周知徹底することが必須です。

ポイント3. 補助金関連資料の保管の徹底

補助金を申請した企業には、補助事業の終了後も5年間の関連資料の保管義務があります。

国や地方自治体に提出した資料はもちろん、物品購入に関わる納品書や請求書、コンサル資料、社員の勤怠資料など、諸元となる全ての資料は、誤って廃棄することがないよう、必ず専門のフォルダや倉庫に入れて、管理することが必須です。

いかがでしたか?今回は、中小企業で活用できるDX関連の補助金について、代表的な制度と申請時の注意点をご紹介いたしました。

この記事が、今後、補助金を活用したいとお考えの皆様の参考になれば幸いです!

執筆者

一橋大学経済学部卒業。大学在学中は労働統計学を専攻、統計データを活用した労働市場の最適化を研究。日本の某大手メーカーで11年勤務、うち2年は台湾駐在。現在は台湾にあるデジタルマーケティングの会社に勤務。

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