こんにちは!Kdanライターの佐藤です。
コロナウイルスが依然と落ち着きを見せない中、業務効率や在宅勤務を促進するため多くの企業が電子契約の導入を進めています。一方で電子契約のリスクを恐れて、未だに電子契約の導入をためらっている企業もあります。
今日はそんな電子契約を導入したいけれども電子契約が怖いという方に対して、電子署名のプロである私達が電子契約のリスクについてお話をします。
電子契約にリスクは存在します。しかしリスクもきちんと理解を抑えれば対応できます。
このブログでは電子契約の基礎的な部分から、正しいリスク対策までお話していきます。また、メリットとデメリットと及びリスクもきちんとご説明します。
目次
電子契約
電子契約とは、その名の通り、電子データによって契約を取り交わすことです。
まだ書面での契約がほとんどの企業もあるかと思いますが、書面での契約書の代わりに、電子データを用いることで、インターネット上で契約を取り交わすことが可能です。その際は、電子署名や電子サイン利用します。
また、近年電子署名の普及や電子契約の法整備により、電子契約のハードルが下がりました。
電子契約と書面契約の違いは、以下の表をご覧ください。
電子契約 | 書面契約 | |
形式 | 電子データ | 紙 |
押印方法 | 電子署名 もしくは 電子サイン | 印鑑 |
本人性の担保 | 電子証明書 | 印鑑証明書 |
改ざん防止対策 | タイムスタンプ | 割印・契約 |
印紙の必要性 | 不要 | 必要 |
送付方法 | メールなど | 郵送や持参 |
保管方法 | クラウドやサーバー | オフィスや貸し倉庫 |
端的にまとめると、電子契約にすることで、以下の3つのメリットがあります。
① 業務効率化
電子契約では書面で必要だった、印刷、捺印、郵送、保管、などの作業が不要になり、大幅な業務効率化ができます。電子契約書にすることで、取引先の相手方ともスピード感を持って契約を交わすことが可能になります。
参考記事:電子契約で95%業務効率化 契約完了まで8時間から26分へ
② 管理性の向上
書面契約では、契約書の紛失や破損の恐れがありますが、電子契約ではクラウド上で管理することでその不安要素を解決できます。
またオフィスや倉庫で管理した場合は、監視カメラやセキュリティ、倉庫にアクセスする人間の管理という手間がかかります。電子契約書にすることで、閲覧者の管理や、契約書の検索、閲覧、共有が簡単に行えます。
③ コスト削減
電子契約では印紙税などのコストを削減できます。もし倉庫などを借りている場合、家賃や人件費等も削減することができます。
私が以前勤めていたメーカーではISOのために売上に関わる書類を5年間保存していて、段ボール何百個分の書類を東京都北区の倉庫に保存していました。これだけでも年間数百万-数千万円かかったでしょう。
参考記事:電子契約活用ガイドライン
しかし、電子契約はメリットもあれば、もちろんデメリット及びリスクもあります。次に電子契約のリスクについて触れたいと思います。
電子契約のリスク
情報漏えいリスク
電子契約のデメリットの一つが情報セキュリティ、つまり情報漏洩のリスクです。
個人情報が流出することで、社会的信用を失うだけでなく、流出したことによる金銭補償や、システム改善なども行う必要が出てくるでしょう。
ウィルス感染や不正アクセスへの対応はもちろんのこと、社内の管理体制や管理意識を高めることも重要になります。
以下は電子契約によって情報が漏洩する事例です:
- パスワード持ち出し、USBなど記録媒体や書類の紛失
- ウィルス感染、不正アクセス
- メールの誤表示、誤送信
内容改ざんリスク
電子契約はインターネット上でのサイバー攻撃によって、内容を改ざんされるリスクもあります。中にはWebサイトを標的にし、身代金を要求する「ランサムウェア」などがあります。
また、パスワードを騙し取り、決済者の代わりに勝手に電子サインをするという「なりすまし」(無権代理)リスクもあります。
以下は電子契約によって内容が改ざんされる事例です:
- 不正アクセス
- パスワードの紛失や騙し取り
電子契約の法的リスク
有効性がない契約書を作ってしまう
電子契約はきちんとルールに則って進めないと法的な有効性がない場合があります。例えば自社で作成した電子印鑑を押印や、単にPDF化した書類にオンラインでサインしても法的な有効性という観点からは NG です。
電子契約を法的に有効化するには、電子帳簿保存法のルールに基づいた管理や手続きが必要です。(タイムスタンプ、改ざん対策、トラッキング機能など)
参考記事:国税局 電子帳簿保存法
参考記事:電子帳簿保存法一問一答
書面化が必要な契約を誤って電子化する
契約の中には書面ではないと、契約ができないものがあります。
不動産の借地権取引契約や、宅地建物売買等契約時の重要事項説明などは電子化することができません。ただ、この部分も法改正により2022年より一部電子化が可能になります。
また電子契約の中には、国によって電子化できない契約が異なります。
グローバル企業を相手に契約を交わす場合は、相手国の法的有効性や特性を理解した上でビジネスを行う必要があるため、注意しましょう。
一例として、シンガポールでは、電子取引法第11条により、全ての電子記録による電子契約が法律で法的に有効であると認められていますが、当事者自治の原則により、契約の合意によっては、電子記録、電子通信、電子署名の使用を排除することができるようです。
そのほかに Kdan の本社がある台湾だと保険法に関する一部の契約が電子化できません。
また有価証券等の一部の書面は、電子化できないものがあります。
電子契約のリスクを減らす3つの対策
メリットとリスクを理解した上で、最後にリスクへの対処方法についてお話をしたいと思います。
1. セキュリティ
電子契約の漏洩リスク及び改ざんリスクはセキュリティが強固であれば問題ありません。セキュリティが強固で情報漏洩を心配しなくていい電子署名ツールを選べば電子契約のメリットをそのまま享受できるという事です。
例えば、ドットサイン (DottedSign) はブロックチェーン機能を使いバージョン管理しています。文書署名プロセスの暗号化、二重の本人確認実施によるセキュリティ強化、監査対応トラッキング機能などがあり、世界のほとんどの主要先進国で法的効力を持っています。
参考記事:BiiLabsとKdan Mobileが、ブロックチェーン技術を応用したDottedSign電子署名システムを共同発表
2. エビデンス
そのほかに、契約締結までのやり取りを残すとより安心です。
万が一トラブルに発展した時のために、メールやLINE、Facebookのメッセンジャーなどを利用した場合もやり取りを残しておけば、仮に電子契約でトラブルになってもこれらのメッセージが根拠になり得ます。
参考記事:電子契約のリスクとは?
3. 社内セキュリティ
最後に、電子契約に関わらず社内セキュリティの対策をしっかり取る事も大事です。例えば私が以前お手伝いをしていたマイクロソフトでは、毎日のようにソフトウェアのセキュリティ更新がありました。また、パスワードの変更も定期的に行っていました。
みなさんの会社には定期的にインターネットのセキュリティを教育する人はいるでしょうか?
電子契約及び電子化は今後ますます普及する事は確実です。リスクばかり恐れて電子化を怖がっていては置いてきぼりにされます。
セキュリティが強固で、グローバルに対応できるドットサイン (DottedSign) のような電子署名サービスを用いれば今後のビジネスはグローバルに更に発展するでしょう。