こんにちは、Kdanライターの津山です。2022年の電子帳簿保存法改正により、領収書電子化のハードルが大きく下がりましたね!
SAP社の調査によると、企業の約8割が紙の領収書処理に関わる人件費や作業費、保管コストに問題を抱えていると回答しました。このブログを読んでくださっている企業の方も、同じ悩みを抱えているのではないでしょうか?
そんな悩める企業にとって、今回の電子帳簿保存法の改正は企業にとって朗報です。様々な制度や要件が廃止、緩和され領収書の電子化が一段と行いやすくなったからです。
その一方で、遅くとも2024年1月以降は全ての会社で一部の領収書電子化保存が義務になることも忘れてはいけません。慌てて電子化して経理手続きで混乱を招いたり、知らずに法律違反をしてしまうことは避けたいですよね!
そこで今回は、これから電子化を検討する皆様に、電子帳簿保存法改正内容のまとめ、領収書を電子化するメリットと注意点、そしてオススメのサービスまでを、電子化サービスのプロの目線でご紹介します。
2024年までに慌てず速やかに領収書の電子化を進めたいとお考えの企業の皆様は、必見の内容です!
目次
電子取引と電子領収書の基礎知識
まず電子取引と電子領収書の基本を紹介します。電子取引で発生した領収書は遅くとも2023年末までに電子保管対応が必須になるので、現在、領収書を紙保管している会社もぜひ覚えておいてください。
国税局の定義によると電子取引とは「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」です。つまり簡単にいうと電子データを使い情報をやり取りする取引です。
具体的には、電子取引で発生する電子領収書には以下の例などが該当します。
・総務担当者がオンラインショップで備品を購入し、領収書をPDFデータでダウンロードした
・財務担当者がテレワーク中で、オフィスに請求書を郵送されても受け取れないため、PDFデータにした請求書をメールで送付してもらった
電子領収書は、電子帳簿保存法と呼ばれるルールの要件を厳格に守って保管する必要があります。1998年にルールができたにも関わらず、その要件が厳しすぎたために電子化が進まず、日本でシステム対応が済んでいる企業はたった2割というデータもあります。
一方、Kdanの本社がある台湾では、2000年から電子領収書の導入が開始され、今では一般消費者のレシートも含め全国平均3割、首都台北はなんと6割以上がすでに電子化されています。日本政府も諸外国に比べ産業界のデジタル化が遅れていることを危惧しており、それが今回の法改正のきっかけになったとも言えます。
引用元:HiTRUST (電子領収書の事例)
電子帳簿保存法の概要と2022年からの変更点
領収書の電子化を達成するには、電子帳簿保存法のルールを知ることが必須です。そこでまず電子帳簿保存法の概要と、2022年からの変更点を簡単にまとめてご紹介します。
電子帳簿保存法の概要
電子帳簿保存法は、取引書類を電子保存するルールを定めた法律です。電子帳簿保存法では電子取引書類へのタイムスタンプの付与(作成日付の証明)やシステムに備えるべき検索機能のルールなどが定められています。
2022年からの領収書の電子化に関する変更点
電子帳簿保存法の改正で、絶対に押さえておきたい主要な内容は以下の4つです。
①税務署の3ヶ月前事前承認制度廃止
これまで領収書を電子化するためには、電子化する3ヶ月前までに税務署に申請書を提出する必要がありました。しかし事前承認制度の廃止により、社内での取引情報管理体制やツールが法律に即していれば、即、電子保存を開始することができるようになりました。この事前承認制度が廃止されたことは、企業にとって「いつでも好きなタイミングで紙保存からデータ保存に切り替えてよい」ことを意味し、この改正によって経理業務のデジタル化に踏み切りやすくなったといえます。
特に、これまでも紙で扱うことの多かった領収書については、「スキャナ保存時のタイムスタンプ要件の緩和」でデータ保存に切り替えやすくなりました。
②タイムスタンプ要件の緩和
タイムスタンプは、書類が作成された日時や文書の改ざんがないことを厳格に示せる電子証明書です。かつては電子領収書の発行から3日以内にタイムスタンプの付与が必須でしたが、今後は2ヶ月と約7営業日以内に付与すればOKになりました。
さらに電子領収書の変更履歴が残り、一切訂正削除ができないシステムを使用するなど要件を満たす場合は、タイムスタンプが不要になります。
③検索要件の緩和
今回電子領収書を保管する際の検索項目が「取引年月日その他の日付」、「取引金額」、「取引先名」の3つに限定されました。
また税務署からの電子データ提示の要請に応じる場合は、範囲指定や項目を組み合わせて条件を設定できる機能の備え付けは不要です。これで中小企業でも大規模な会計システム改正なしに、領収書を電子化することが可能になりました。
④スキャナ保存における適正事務処理要件の廃止
以前は紙資料をスキャンして電子保存する場合は、別人による原本との照合や定期検査が必須で、作業が複雑化していました。(適正事務処理という)
ですが今後は、書類を改ざんできないシステムやタイムスタンプをきちんと導入すれば、ダブルチェック等の作業は不要になります。
参考:電子帳簿保存法が改正されました、Ⅰ 通則 【制度の概要等】|国税庁
領収書を電子化することのメリットと注意点
今回の改正で日本政府は領収書を電子化するハードルをかなり下げたわけですが、事業者にとって領収書を電子化するメリットは一体何でしょうか?ここではメリットと注意点をまとめて伝えます。
領収書電子化の主なメリット
・印紙代や印刷・保管などのコスト削減
・書類のセキュリティ強化
・経費精算などの経理業務効率化
領収書も5万円以上なら収入印紙を貼る必要があります。その点、法律に適合した電子領収書なら印紙は必要なく、さらに保管や印刷のコストも削減できます。
また電子領収書は、人為ミスや災害で紛失や破損するリスクを減らし、さらに経年劣化による情報の紛失も防ぎます。また法的に有効なタイムスタンプやトラッキング機能を備えれば改ざん対策にもなり、テレワーク時も安心して経費精算等や支払い処理が行えます。
領収書の電子化をする際の主な注意点
・電子取引から発生した書類の電子化は義務
・システム導入の費用がかかる
・電子領収書の保存期間は原則7年
今回の変更で、今後、電子取引で発生した書類は全て電子保管が義務付けられ、紙印刷による保管が認められなくなります。(2023年12月31日までの猶予期間あり)
また電子化の際は多くの会社で法的に有効なタイムスタンプやトラッキング機能が必要になるので、システムの導入費用がかかります。
さらに領収書の保存期間は法人税法により7年間必要なので、システム保守が切れたりすることがないよう、将来を見据えてシステムを選ぶことが大事です。
領収書の電子化には電子署名サービスがおすすめ
今回の法律改正点をまとめると、領収書を電子化するには少なくとも
・税務署が認めるタイムスタンプの付与ができる
・電子データの修正・削除の変更履歴追跡ができる
これらを厳密に行えるシステムを使う必要がある、ということがわかりました。そこで最後にオススメしたいのが「電子署名サービス」の利用です。電子署名サービスとはオンラインで電子書類などに法律上有効な電子サインができるサービスです。
なぜ領収書の電子化でわざわざ電子署名サービスを使うのか?と思うかもしれませんが、電子署名サービスは「タイムスタンプの付与」や「変更履歴追跡機能」を完備しており、法律的に不適合になるリスクがかなり減ります。
さらに電子署名システムを使うメリットは他にもあります。
・契約から請求、領収書発行まで、契約プロセスがすべて電子化できる
・ブロックチェーンを利用した暗号化技術などが使われておりセキュリティレベルも高い
・紙の資料が必要な場合も、電子署名システムを使えば電子帳票を印刷する機能がある
暗号化技術について電子化した書類のセキュリティ対策の重要性は、こちらのブログでも詳しく説明しているので参考にしてください。
▶︎【簡単解説】電子署名と暗号化の仕組みとは?暗号化技術も解説
2024年には電子取引で生じた書類の電子保管が義務化されるほか、ほぼ同時期に消費税法の改正(インボイス制度導入)があり3万円以上の領収書は原則全て保管が必要になります。
今後、領収書の電子化はある意味強制的に進むので、法律改正を機に契約書や請求書まで含めたデジタル化を進めようと考える企業も多く出てくるでしょう。つまり今から契約書から領収書まで一貫して電子化するシステム、すなわち電子署名サービスの活用を考えることが大切です。
Kdanの提供する電子署名サービスDottedSign(ドットサイン)は、ブロックチェーンを利用した暗号化技術やタイムスタンプ、追跡機能への対応はもちろん、署名・チェック完了率などのレポート機能、また稟議回覧に便利なワークフロー機能も備えています。
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